ギャル「バスやばくね」→それな

隣の隣あたりの町まで出かける用事があったのでバスに揺られることにしました。
バスに乗ると思い出す、お決まりの苦い記憶。
バス停で目の前を通過されたり、ボタンを押したのに停まってくれなかったり。
そうですね、他にも色々あったような気もしますが、それをここで語るのは野暮というものでしょう。

バスの運行には、会社員時代に微力ながら携わったことがあります。
その頃の経験を踏まえると、いまの運行状況は何らかの事態が発生していると言わざるを得ません。
それは、おおむね10分から15分間隔で運行される同じ方向に向かうバスが、ほぼ同時刻の団子状態で運行しているからです。
私の乗っているバスより10分程度先行しているはずのバスが、目の前のバス停にまだいる状態です。
今の時代は便利なもので、どのバスが何分程度遅れているかをスマホから確認することができます。
スマホからロケーションシステムを確認すると、やはり前のバスが10分程度遅れている模様。
こちらのバスはガラガラの状態で、それも当たり前です。
前のバスが、2台分の乗客を運んでいるようなものなのです。
ぼんやりと、それを過日のバス運行管理者の立場から、自分だったらどうするかなどをトレース。
折り返しの便に遅れは出るだろうか?
法令で定められる運転士さんの連続4時間運転縛りは大丈夫だろうか。
詰所の乗務員に操車を依頼するべきか?
…などと煩悶している内に目的地に到着していました。
バス停を降りてさらに驚いたのは、自分が乗っていたバスの後ろにさらにもう一台バスがいたことです。
バスが3台ほど団子状態。
これは大変なことになっているな……と、思っていたところ、横を自転車で通過したギャル(死語)の、会話が聞こえてきました。
ギャル「ここのバスやばくね!!?は!?つら!!」
うん、たしかにと心の中で相槌して、少しの笑いが込み上げてきました。
間違いなくギャルとは相容れないだろうと思い込んでいた自分でしたが、それは間違いだったことにも反省しました。
あの瞬間、間違いなくギャルと自分はバスが異常な状態であることに関心を寄せていました。
話してみなきゃ分からない、その人の心の中を覗くことなんてできるわけもない。
その前提を常に持ちつづけているはずだったのに、慢心がありました。
そうだよ、ヤバすぎてチョベリバなんだ。
心の中で返事をして、横断歩道を行き過ぎたりしながら、目的地に向かいました。
誰が何を考えているかなんて分からないなら、せめて伝えつづけるしか術もありません。
私は、私自身のことを知っているはずだけど、あなたから見た私は、きっと分からない。
あなたも私も、何かを完全に分かる日は来ないけど、そういう思いを持ちつづけるもどかしさに屈したくない。
そうですね、そうやってこれからも生きていきたいのだと、そう思ったので記しておきました。
